認知症の方・未成年者・不在者がいる遺産分割
相続手続きを行うためには、相続人全員が遺産分割に同意していることが必要です。認知症などで相続人としての意思表示ができない方がいる場合、手続きを進めることができません。
認知症の方、未成年者、不在者がいる場合、手続きを進めたいがために、勝手に実印を押してしまって手続きを進めてしまうと当然問題になってしまいます。
それぞれのケースに合わせて、しっかりと手続きを確認しましょう。
認知症の方がいる場合の手続きの進め方
認知症の方が相続人にいる場合、意思能力の無い相続人に代わり、遺産分割協議に参加する代理人が必要となります。その代理人のことを「後見人」といいます。
このように相続人に認知症の方がいる場合、相続手続きの流れは以下のようになります。
①家庭裁判所に成年後見人の選任申立てを行う
②後見人を選任
③後見人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行う
④財産の名義変更
※この場合、後見人は、認知症の方の症状の程度によっても、後見人の種類(成年後見人・保佐人・補助人)が変わることがあります。
成年後見人:判断能力がほとんどない場合
保佐人 :判断能力が著しく不十分な場合
補助人 :判断能力が不十分な場合
後見人の選任は、家庭裁判所に対し、後見人選任の申立を行う必要があります。また後見人が選任されるためには、選任されるまで、通常1~2カ月はかかります。これは、認知症の方の鑑定等が必要な場合もあるからです。
相続手続きをスムーズに進めるためには、早めに相続の専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。
未成年者がいる場合の手続きの進め方
通常、未成年者の代理人は親の場合が多いですが、親子共に相続人となる場合も多くあります。
このような場合、親子の利益が相反することになるので、親が子供の代理人となって遺産分割することができません。
これは、子供が財産を受け取る権利を両親が脅かさないために、法律で決められているからです。
このような場合、家庭裁判所に特別代理人の選任を申立てをする必要があります。
行方不明者がいる場合の手続きの進め方
相続人に行方不明者がいる場合、下記のような手続きを行ったうえで、遺産分割を進める必要があります。
- 失踪宣告をする。
- 不在者のための財産管理人を選任する。
これらのいずれかの方法を取ることになりますが、両方とも裁判所への提出書類作成と申立てが必要となります。