遺言を作る人が増えています
公正証書遺言を作成した件数が、平成元年の40,941件から平成22年の81,984件と、2倍に増えています。
現在は、団塊の世代が老い支度をする年頃です。
いっそう、遺言が注目されるようになってきました。
遺言を作る人が増えていますが、その理由は?
「遺産の分け方でもめてほしくないという残されたものへの配慮」
遺言を作る人が増えた一番の理由は、相続のトラブルが増えてきたからでしょう。
時代が変わり、権利を権利として主張する相続人が増えてきました。
- 戦後の新しい民法により、兄弟間の遺産分割は平等意識が定着している。
- 相続人世代の人たちは、長引く不況の中、子供の教育費や住宅ローンで苦労している。
遺言がない場合、亡くなった方の相続人が遺産の分け方に関して協議(遺産分割協議)を
行います。
誰にどのように相続して欲しいかということを明確に書き残しておけば、遺産相続争いを
防止することができます。
遺言は法定相続分よりも優先します。
「自分の財産は自分で誰にあげるか決めたいという思い」
遺言があれば、自分の好きなように財産を分けることができます。
具体的には、下記のような場合があります。
- 財産を分散させたくない
- 妻に相続財産を全部相続させたい
- 老後の面倒を見てくれた法定相続人以外の人に財産を譲りたい
- 家庭の状況もあり、相続人の一人に他の相続人より多めに相続させてあげたい
- 従業員の雇用を守るため、会社の事業承継の方針を明確にしたい
ただし、相続人の遺留分について考慮しなければ、のちのち相続人間でのトラブルを引き起こすきっかけになってしまう場合がありますのでご注意ください。
「遺産分割協議」とは?
この話し合いのことを、遺産分割協議といいます。全員の合意により成立します。
(「相続に関する用語集」より)
「法定相続分」とは?
イ 配偶者と子供が相続人である場合
配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
ロ 配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
ハ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。
(「相続に関する用語集」より)
「遺留分」とは?
人は死後についても遺言により自由に財産が処分できます。しかし、それでは遺族の生活に困ることになりかねません。そのため、兄弟姉妹以外の法定相続人には相続できる最低額が保障されており、それを遺留分といいます。
直系尊属のみが相続人の場合は財産の3分の1、それ以外の場合は財産の2分の1であり、これに法定相続分をかけて各人の個別的な遺留分を計算します。
遺留分に不足する部分は自動的に返還されるわけではありませんので、遺留分の侵害があった場合は遺留分減殺請求という手続きが必要です。
(「相続に関する用語集」より)